「任意整理」「個人再生」「自己破産」の違いをわかりやすく比較
はじめに
借金の返済が厳しくなったときに検討される「債務整理」。
しかし、いざ調べてみると**「任意整理」「個人再生」「自己破産」**という言葉が並び、
「結局どれを選べばいいの?」と迷う方が多いのではないでしょうか。
この記事では、それぞれの特徴・メリット・デメリットをわかりやすい比較表とともに解説します。
「どんな人がどの手続きに向いているのか」まで理解できるように構成しています。
1. 債務整理とは?3つの主な方法
「債務整理」とは、借金を減額したり、返済の条件を見直したりして、
生活の再建を図るための法的手続きです。
主な方法は以下の3つです。
種類 | 手続きの主体 | 法的手続き | 主な効果 |
---|---|---|---|
任意整理 | 弁護士・司法書士と債権者の話し合い | なし(裁判所を通さない) | 将来利息をカット、分割払いに変更 |
個人再生 | 裁判所 | あり | 借金を大幅に減額(最大90%減)して返済計画を立てる |
自己破産 | 裁判所 | あり | 借金を全額免除(例外あり) |
2. 任意整理とは ― 話し合いで現実的に返す方法
特徴
弁護士や司法書士が債権者と直接交渉して、将来利息をカットし、
**分割返済(3〜5年程度)**に変更する手続きです。
メリット
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裁判所を通さないため、手続きが早く・簡単
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家族や職場に知られにくい
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一部の債権者だけ整理することも可能(例:消費者金融だけ)
デメリット
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元本自体は減らない
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信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録される
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延滞が長い場合、和解が成立しないこともある
向いている人
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安定した収入がある(返済は継続可能)
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借金の総額が300万円以下程度
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家や車などの財産を手放したくない
3. 個人再生とは ― 借金を大幅に減らして返済する方法
特徴
裁判所を通じて借金の一部を免除してもらい、
残額を原則3年(最長5年)で返済する方法です。
たとえば500万円の借金なら、約100〜150万円まで減額できることもあります。
メリット
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住宅ローン特則により、家を残したまま再生できる
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任意整理よりも大幅な減額が可能
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保証人がいない借金なら、他人に迷惑をかけない
デメリット
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裁判所への申立てや書類準備に時間がかかる
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収入が安定していないと認可されない
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官報(国の公報)に名前が掲載される
向いている人
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借金総額が500万円〜数千万円程度
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家を守りたい人
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安定した給与収入や年金がある人
4. 自己破産とは ― 借金をゼロにする最後の手段
特徴
裁判所に申立てを行い、
返済不能であることを認めてもらうことで借金の支払い義務がなくなる制度です。
メリット
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借金を全額免除できる(税金・養育費など一部を除く)
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収入がなくても申立て可能
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生活を一から再スタートできる
デメリット
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財産(車・高額な貯金・一部の保険など)は処分対象
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官報に掲載される
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一定期間、一部職業制限(弁護士、宅建士など)がある
向いている人
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返済の目途がまったく立たない
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財産よりも借金の方が明らかに多い
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生活を根本からやり直したい
5. 3つの手続きを比較してみよう
項目 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|---|
手続き先 | 弁護士・司法書士 | 裁判所 | 裁判所 |
借金減額 | 利息カットのみ | 約1/5〜1/10に減額 | 全額免除 |
家の維持 | 可能 | 原則可能(住宅ローン特則) | 原則処分 |
官報掲載 | なし | あり | あり |
費用目安 | 約10〜20万円 | 約30〜60万円 | 約20〜50万円 |
手続き期間 | 2〜3か月 | 6か月〜1年 | 6か月〜1年 |
家族・職場に知られる可能性 | 低い | 低い | 低いが官報で確認可 |
信用情報(ブラック期間) | 約5年 | 約5〜7年 | 約5〜7年 |
6. どの方法が自分に合っているか判断するには?
それぞれにメリット・デメリットがありますが、
最も大切なのは、**「返せるか」「守りたいものがあるか」**です。
状況 | 向いている方法 |
---|---|
安定収入があり、返済を続けたい | 任意整理 |
家を残して借金を減らしたい | 個人再生 |
収入がなく返済不可能 | 自己破産 |
💬 ポイント:
自分では判断が難しい場合は、無料相談(法テラス・弁護士会など)を活用しましょう。
初回相談で状況を説明するだけでも、最適な方法が見えてきます。
7. まとめ
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任意整理:話し合いで現実的に返済
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個人再生:裁判所の力で大幅減額
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自己破産:借金をゼロにして再出発
どの方法も「終わり」ではなく、「再スタートのための制度」です。
自分に合った選択をすれば、必ず生活は立て直せます。