はじめに
「奨学金の返済がきつい」「毎月の返済が家計を圧迫している」──そんな悩みを抱える方は、あなただけではありません。
いまや奨学金は、学生の半数以上が利用していると言われ、“隠れた借金”の代表格とも呼ばれています。
この記事では、奨学金の返済が厳しいときに実際に取れる具体的な対処法をわかりやすく紹介します。
焦らず、できるところから一歩ずつ対応していきましょう。
奨学金の返済は「特別なこと」ではない
文部科学省の調査によると、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を利用している学生は全体の約半数。
借入額の平均は約300〜400万円にのぼります。
つまり、大学卒業時点で数百万円の「教育ローン」を背負っている人は決して珍しくありません。
社会人になってから返済が負担になるのは、ごく自然なことです。
返済がきついと感じたときの3つの基本ステップ
奨学金の返済が厳しいときは、まず次の順番で行動しましょう。
- 返還期限の猶予を申請する
- 返還額の減額を申請する
- それでも厳しい場合は、債務整理を検討する
順に詳しく見ていきます。
① 返還期限の猶予制度を利用する
まず検討すべきは、「返還期限猶予制度」です。
失業・休職・収入減などの事情がある場合、返済を一時的に止めることができます。
- 申請条件:前年所得が一定基準以下(単身者で約300万円未満が目安)
- 猶予期間:1年単位(最長10年まで延長可能)
- 申請先:日本学生支援機構(JASSO)へ書面またはマイページで申請
※猶予中は延滞にはなりません。返済の一時停止扱いとなるので、信用情報にも傷はつきません。
② 返還額の減額返還制度を利用する
次に検討したいのが、「減額返還制度」です。
これは、毎月の返済額を一時的に半分にする制度です。
- 対象:返済中の人で、収入が下がった・生活が苦しい場合
- 期間:1回の申請で最長12か月(何度でも申請可能)
- 減額幅:月額返済額の1/2(たとえば2万円→1万円)
返済を完全に止める猶予制度とは異なり、少額でも返し続けるため、延滞扱いにはなりません。
「延滞を避けながら負担を減らす」現実的な選択です。
③ どうしても返せないときは債務整理を検討する
猶予や減額をしても返済が厳しい場合、最終手段として債務整理を検討することもできます。
奨学金は法律上「貸付金」なので、他のローンやカードと同じく債務整理の対象になります。
ただし、保証人がいる場合は保証人に請求が行く点に注意が必要です。
次の記事で、奨学金の債務整理が可能な理由と注意点を詳しく解説します。
奨学金は「返せない人が悪い」わけではない
奨学金の返済がきついと感じているのは、あなただけではありません。
多くの人が、就職・転職・病気・収入減など、予期せぬ出来事で返済に苦しんでいます。
それは決して「怠け」や「責任放棄」ではなく、現実的な経済状況の変化にすぎません。
制度を利用して立て直しを図るのは、前向きな選択です。
安心して行動するために
- 延滞する前に、まず「猶予」や「減額返還」を申請する
- 保証人に迷惑をかけたくない場合は「機関保証」かを確認する
- どうしても厳しい場合は、弁護士に無料相談する
奨学金の返済が厳しいとき、最も大切なのは「放置しないこと」です。
早めの行動が、将来の負担を確実に軽くします。
まとめ
制度名 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
返還期限猶予 | 一時的に返済を止める | 延滞扱いにならない |
減額返還 | 毎月の返済を半額にする | 生活を維持しながら返済できる |
債務整理 | 法的に減額・免除を受ける | 保証人の有無に注意 |
奨学金は、「教育を受けるための前向きな借金」です。
だからこそ、返済が苦しいときは我慢せずに制度を使いましょう。
今の苦しさを正直に受け止めることが、次の一歩への第一歩です。